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まるごと∞まんまるスマイル

丸山くんメインながら、全メンバーこよなく愛でるブログ。惚れたもんだから仕方な〜い。

「破門」原作を読んで(ネタバレあり)

映画 横山裕

「破門」原作を読み終わりました。

まずシリーズ第1作の「疫病神」を読んで、それから一気にこの5作目の「破門」に飛ぶという乱暴さ。すみません、どうしても読みたい本がほかに出てきちゃって…。

結果、主人公二宮の車が、コロナからアルファロメオに変わっていたのが気になった以外はそれほど問題なく読めたので、覚え書きとして感想を書いてみます。

とは言っても、どうしても映画と比較してしまうところがあって、純粋な小説「破門」の感想にはなりません。ただ、どちらについても、よかったところも残念なところも正直に書こうと思ってます。もちろんストーリーのネタバレありです。あしからず。

(ああ関ジャムもとてもよかったんですけどね!ぐっとこらえて順番に消化していきます!)

映画と原作

私は原作付きの映画やドラマは、原作を読まずに見ることにしています。原作を知っちゃうと、ストーリーよりも原作との間違い探しで気が散っちゃうから。

「破門」に関しても、そうして正解だったなあと思いました。

皮肉というかなんというか、小説の冒頭で、原作付きのものを映画化するとき話が出てくるんですね。

映画をご覧になった方はわかるだろうけど、小清水が映画の企画を説明するあたりです。

ここはさすがに小説の方が詳細なんですが、印象的だったのはここ。

「原作をシナリオにするキモはなんです」
「どこを省略するかでしょ。映画は長くても百分以内に収めるのが鉄則ですから」

当然、「破門」においても、映画ではだいぶ省略されている部分がありました。

消えたカジノシーン

中でもだいぶ違うなと思ったのはカジノのシーン。

そもそも原作ではマカオのカジノと香港のホテルを行き来してるんですが、映画ではマカオで桑原だけがカジノに行って、二宮はホテルで小清水たちを監視するためにお留守番になってます。

でも原作で、カジノは二宮の見せ場でもありました。カジノに慣れてるのは桑原じゃなくて二宮。桑原に二宮がレクチャーするシーンが映画では一切カットされてます。

ここが私としてはもったいなかった。

原作の二宮は、根っからの博打好きで、ほとんど病。何かっていうとすぐパチンコに行くし、ツボ振りもやる。お金なくてお母さんから借りてるのに。

でも同時に、二宮がギャンブルで培ってきた勘と知恵が発揮されるのが、カジノのシーンなんです。

それがなかったことで、映画では二宮の賢さがあまり見えなかった気がします。

ひたすら桑原に巻き込まれるだけの凡人が、最後に自我に目覚めた、みたいな構図。

ただ…原作のカジノシーンは、私みたいなルールをわからない者には延々と謎用語の連続で、なかなかつらいところもあったんで、一概に必要だったとも言えないんですが。

でも原作の二宮はけして凡人ではなかったんです。

二宮に流れる血

二宮の非凡さを感じさせたところはもう一点あります。

映画ではわりとあっさり語られてた、二宮と嶋田さんとの縁。

二宮のお父さんは極道で、二蝶会組長の森山の兄貴分。若頭の嶋田が若い頃から世話になっていて、生きていたら幹部候補だったかもしれないという立場です。第1作の「疫病神」では、それを聞いた桑原が態度を改めたくらいです。そのときだけだけど。

でも二宮は現在カタギとして生きてるんですが、原作では、極道の血を感じさせる場面がちょいちょい出てくるんです。

本人はビビってる、ちびりそう、とか言ってる割に、ガチの喧嘩シーンでは平然としてるし、覚悟を決めたときの度胸も立派、いざとなると相手に凄みをきかせる瞬発力もある。及び腰な割に肝の据わってるところが、桑原とのナイスコンビネーションにもつながってるんですね。

だけど映画ではどうだったかなあ。全体的に横山くんは淡々と演技してたし、そういう雰囲気はちゃんと出てたと思います。でもそれを印象づける台詞や行動はあったかなあ。ああ一回しか見られなかったのが悔やまれる。

でも、その見に行った一回で私が強烈な蔵之介萌えを覚えて帰宅したように、映画では桑原の見せ場の方がわかりやすかったんだろうと思います。

それでも桑原の狂気じみたバイオレンスは原作の方がひどくて、しかもその裏の計算高さも上を言ってましたけど(笑)

その点、イケイケヤクザっていう言葉も原作でちゃんと出てきて、振り切れた行動力や暴力性のことなんだと理解できました。

それに、桑原のオシャレ具合も文章よりもビジュアルで見せる方が強いですね。しかも蔵之介さんめちゃくちゃスーツも眼鏡も似合うしね。

キャスティングの妙

だけど二宮のその肝の据わったところ、これはそのまま横山くん本人のキャラクターでカバーされていたんじゃないでしょうか。バラエティ畑で鍛えてきた胆力が買われたというか。

極道のサラブレッドでありながらカタギの立場で生きている二宮と、ジャニーズアイドルでありながら庶民派スタンスでお昼のバラエティに出ている横山くんがダブって見えるんです。

二宮に横山くんがキャスティングされたのは、さらに言葉のことを考えてもピッタリなんですね。

この疫病神シリーズを二作品読んで特徴的だったのは、濃厚な関西弁での会話がとても多いこと。しかもその台詞一つ一つが非常に短くてキレがあるんですね。そのやりとりの躍動感が全体を支えてると言ってもいい。

これは、実写化に当たって、関西弁のネイティブスピーカーじゃないとなかなか出せないテンポ、リズムだったと思います。その点では北川景子ちゃんもナイスキャスティング。言葉もスタイルのよさも。

エンタテイメント性

一方映画版では、二宮が凡庸に描かれているからこそ、クライマックスが映えるとも言えるんですね。

それまで桑原に振り回されてきた二宮が、自分の意志で桑原を救いに行く決意をするシーンです。

あの、横山くんの目に意志の光が宿ったところはすごくよかった。ゾクッとしました。あの一瞬のためにそれまでのすべてがあったんだと思った。

あれがあったから、ストーリーとしてはまとまりが出たんですよね。カタルシスが訪れる瞬間。

桑原というキャラクターは、あのストーリーの中で一貫して変わらないんです。だけど二宮は変わった。その変化を横山くんはしっかり演技で見せられていたと思う。

そのわかりやすいエンタテイメント性という点では映画版の方が勝っていたような気がします。

(一方原作では二宮のダメ人間ぶりが際立っていた。小清水の愛人玲美の部屋を家捜ししたときなんか、自分のパンツを捨てて玲美のをはいちゃうんですよ!!これはいろんな意味で映像化不可!!)

二宮と桑原の関係性

でも原作では、そもそも2人の空気感が全然違う。

原作での2人の関係性はもっとドライなんです。2人は絶妙に平行線をたどる。つかず離れず。

特に二宮はいつでも桑原との関係を切れる、むしろ切りたいと思ってるし、桑原の不幸を冷静に喜ぶくらいには執着がない。(ツンデレ描写…には私は読めなかったけど違ったらごめんなさい)

たぶん原作は二宮や桑原という個人よりも、ヤクザ社会のいざこざの展開に軸をおいてるんだと思います。そういうジャンルなんだろう。

でも人間描写が雑なわけではなくて、そのドライで計算高いところは、むしろ現実的とも言えます。でも、フィクションとしてドラマチックに感じるのはやっぱり映画の方かなあ。

映画でのもう一つのハイライトは、やはり桑原の、

「お前、ワシのこと嫌いになったんか?」

という台詞です。映画ではあの台詞があるから桑原がかわいらしくなるんですよね。

勝手に二宮にまとわりついて、勝手に好かれてると思い込んでいる。すごく動物っぽいなつき方。

終始強引で迷惑な喧嘩好きだけど、ちょっとおバカなところが愛嬌を感じさせるんです。

でも原作「破門」にこの台詞はない。たぶんありえない。(私が読んでないシリーズ作品にあったらごめんなさい)

そしてセツオと桑原の関係もドライ。セツオは桑原の舎弟ではあるけれど、組との関係が切れたら桑原との関係も終わり。桑原もセツオよりも金が大事というようなことをあっさり言う。ハッタリだらけでどこまで本気かわからないのも桑原だけど。

とにかく全体の関係性が非常にドライ。

でもそれはそれで、ヤクザはぬるい情で簡単に生き抜ける商売じゃない、ということもシビアに描かれてて説得力があるんです。

うん、原作と映画とではパラレルワールドみたいな感じでした。

主体をハードボイルドに置くか、エンタテイメントに置くかの違いなのかもしれません。

その後の世界

ただ、どちらも結局桑原が破門されてしまうところは同じなんですね。

これは純粋にその後が気になります。

ヤクザとしてしか生きられないだろう桑原。きっと何か一矢報いる行動を起こすと思うんですが。

原作の続きが出たら目を通してみたいなと思ってます。

あ、あと原作の方が二宮から悠紀に執着があるのが意外でした。映画では北川景子ちゃんがものすごくカラッとしてたから。

原作での二宮はかなり悠紀に依存してると思うし、気づいてないけど好きなのかな?それは悠紀もかな?でも進展はないんだろうね?みたいなまどろっこしい感じがあります。二宮がめっちゃかわいがってるオカメインコのしゃべる「ユキチンスキスキ」にはなんかドキドキした。誰が教えてるの?二宮?

最後に

なんにしろ、私は原作も映画も、硬派な男の世界の作品だなと感じました。

だから、エンディングでなぐりガキBEATが聞こえたとき、ちょっと違和感があったんです。曲そのものは大好きなんだけど、映画の世界観に比べると曲が軽快すぎたというか。関ジャニ∞だったらアニマル・マジックくらいの方がイメージが近かったなあ。少数派かもしれないけど。

その意味では映画の宣伝対象をもっと男性寄りにしてもよかったんじゃないかと思いますが、難しかったのかな。十分男性も楽しめる内容だと思うからもったいないな。

でもおかげで、こうして普段読まないような裏社会のハードボイルド小説も読ませてもらえました。「ゴロまく」とか「ヤッパ」とか、いろんな専門用語を覚えたぜ。確実に私の世界を広げてます関ジャニ∞、ありがとう。使う機会はないかもだけど。

それに原作読んだら、大阪にまた行ってみたくなりましたよ。まずはアメリカ村。

以上、まさになぐりガキBEATな感想なので、間違いがあったらごめんなさい。本日はこの辺にして終わります。

それでは!

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破門 (角川文庫)

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